愛国心に訴えるゼレンスキー大統領の演説

ウクライナのゼレンスキー大統領は8日に英国議会で、16日には米国議会でのオンライン演説に臨みました(いずれも現地時間)。いずれも演説後、拍手喝采を浴びたそうです。

英国議会にて

英国議会では、第二次世界大戦時のチャーチル首相の言葉、そしてシェイクスピアのセリフを引用して徹底抗戦する姿勢を示したようです。

まず、チャーチル首相の言葉から。

「私たちは海でも空でも、森でも畑でも、そして海岸でも街でも、最後まで戦い続ける」

ウクライナ ゼレンスキー大統領 3/8英国議会にて

ヒトラー率いるナチ[3年のイラク戦争参戦時には、ブレア首相(当時)もこの言葉を引用したそうで、イギリス国民の愛国心を喚起させる特別な演説のようです。

続いて、シェイクスピアのハムレットより、一番有名であると言っても過言ではない台詞です。

「生きるべきか、否か」(To be, or not to be.)

ウクライナ ゼレンスキー大統領 3/8英国議会にて

※「生きるべきか、死ぬべきか」と訳されることも多い台詞ですが、「死ぬべき」という表現は違和感があり、「否か」と訳しています。理由は「not to be」は「生きるべき(在り続けるべき)ではない」というニュアンスなので、「死ぬべき」は飛躍しすぎだと思うからです。

英国が誇るシェイクスピアの台詞を引用することで、国民の愛国心を刺激し、共感を呼び、味方につけ、一日も早くウクライナを支援してもらおうという狙いだと思います。

こちらに英国議会でのスピーチ全文がありました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220315/k10013532101000.html


ゼレンスキー大統領の演説に対し、ジョンソン首相は、「ウクライナの友人たちが祖国を守るために必要な兵器の供給を推し進める決意がある」と述べ、武器支援を続ける意向を示しました。

米国議会にて

米国議会では、途中で流した映像を含めて演説時間は約17分でした。その中で、人種差別撤廃に奔走したマーティン・ルーサー・キング牧師が演説で語った「I have a dream(私には夢がある)」に触れた上で以下のように訴えました。

「私には必要なものがある」(I have a need.)

ウクライナ ゼレンスキー大統領 3/8英国議会にて

「私には必要なものがある。私には領空を防衛する必要がある。私にはあなた方の決断、協力が必要だ。」と語り、軍事支援や対ロシア制裁の強化を求めた。

また、終盤のウクライナ語でのスピーチの最後には、「バイデン大統領は、世界のリーダーであり、平和のリーダーです」と締めくくりました。


この演説を受け、バイデン大統領は対装甲システム9000基やドローン、そして市民がウクライナ防衛のために使用する武器7000丁を供与する意向を示しました。


今後は日本の国会でもゼレンスキー大統領の演説がある予定なので、どのような内容を語るのか注目されています。